これまでポジティブフィードバックについて考えてきましたが、今回はあえて「ネガティブフィードバック」について書いてみたいと思います。
「フィードバック」という言葉を聞くと、相手のミスを指摘することだと考えている人も多いかもしれません。しかし、私たちが大切にしたいのは、**「相手の成長を願って伝えるギャップフィードバック」**です。
ネガティブフィードバックが必要な場面
・仲間のミスや改善点が繰り返されているとき
・視点が抜けていて、失敗やリスクの可能性があるとき
そんなときには、
「この部分、もう少し〇〇に注意できたら、さらに良くなると思う」
「ここは改善したほうがいいと思うんだ」
と、率直に、誠実に伝えることが必要です。
ただし、このような内容は多くの場合、耳に痛く、伝える方も受け取る方もハードルが高いものです。
だからこそ、伝え方やタイミング、関係性がとても大切になってきます。
1. 伝える動機 〜心のあり方〜
まず、最も重要なのは「どんな気持ちで伝えているか」ということです。
・相手の成長を願って伝えているか?
・自分の苛立ちをぶつけるためではないか?
・嫌いだから指摘したいだけになっていないか?
私自身、感情が乱れることもあるのでよくわかります。
ですが、伝える動機が自分本位であれば、どんなに正論でも相手には響きません。
2. 伝えるタイミング
人は、大きな出来事を終えた後に心が開きやすくなります。たとえば、勝負のプレゼンの後や大きなイベントをやり遂げた直後など、「頑張りを認められたい」「もっと良くなりたい」という気持ちが生まれやすいタイミングです。
そのようなときに、間を置かずにポジティブフィードバックとギャップフィードバックをセットで伝えるのが効果的です。
逆に、相手に余裕がないときや精神的に弱っているときに伝えても、「いまは黙ってて!」と拒絶されるだけかもしれません。
3. 伝える内容
リフレクション研修で学んだ「トリプルフィードバック」というフレームワークがとても有効です。
① 実際の行動
② その結果
③ 理想の行動
この3点セットで伝えることで、フィードバックが具体的かつ建設的になります。
ポジティブにもネガティブにも使える汎用性の高い方法です。
4. 雰囲気と環境づくり
ギャップを指摘するという行為には、どうしても感情が入りやすくなります。
失敗やトラブルの直後など、怒りや苛立ちが先に出てしまうこともあります。
そんなときこそ、心を平穏に保ち、冷静に言葉を選んで伝えることが求められます。
感情が穏やかでも、言葉が明確であれば緊急性も伝えることができると私は考えています。
5. 普段からの関係性
どんなに正しいことを言っても、「お前には言われたくないわ」と思われてしまったら、それは届きません。
普段からの信頼関係、対話のキャッチボール、誠実なふるまい。
これらがあってこそ、耳の痛いフィードバックも素直に受け取ってもらえるのだと思います。
そのためにも、日常のコミュニケーションから信頼を築くことが何より大切です。
自分も等身大でありながら、仲間の成長に寄り添える言葉と行動を心がけたいと、あらためて思います。