興味深いニュースを見つけました。
ブラジルのサンパウロ州政府が財政的な負担を減らすため、不動産の売却に動いており、
その一環でカンピーナス市にあるアグロノミック・インスティテュート・オブ・カンピーナス(IAC)の
サンタ・エリザ農場の一部を売却する意向を示しているようです。
この農場にはブラジル最大のコーヒー遺伝資源バンクがあり、約5,000種のコーヒー品種が保存されています。
不動産としての価値を超え、ブラジルのコーヒー業界にとっては貴重な財産です。
このような遺伝資源の保有権が失われる可能性に対し、コーヒーの研究者や専門家は強く反対しています。
まあ、そうですよね。日本で言えば、宇治茶や和牛といった固有の遺伝資源の権利が失われるのと同様に大きな影響を与えかねません。
サンパウロ州政府は、
あくまで売却の可能性を評価するための調査であると強調していますが、売却の可能性が現実となれば、
ブラジルのコーヒー業界にとって大きな打撃となる可能性があります。
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少し視点を変えて、ブラジルの財政状況を調べてみました。
2024年8月には、公共部門の基礎的財政収支が214億レアル(約39億ドル)の赤字を記録し、歳入よりも歳出が大きくなった状況が報告されています。
ルラ大統領は支出削減の早期導入を指示し、財政健全化を進めているそうです。
ブラジルの歳出で最も大きいのが社会保障関連で、GDPの約39.3%を占めています。
その中でも年金支出が大きな負担となっています。
かつては50代から年金が受給可能で、早期退職して年金でのんびりと暮らす方も多かったようです。
日本の感覚からすると驚きですが、2018年には受給開始年齢が男性65歳、女性62歳に引き上げられました。
ブラジルの65歳以上の人口は全体の約10%(2023年)で、今後も増加が見込まれています。
これにより、年金支出と医療費の負担増が懸念されており、政府は高齢者福祉と財政健全化のバランスを取る政策を模索しています。
コーヒーの研究機関が財政状況に影響される可能性があるというのは驚きですね。
ブラジルは世界のコーヒー生産量の約3割を占めており、ブラジルの動向が世界のコーヒー相場に与える影響も大きいです。
仮にブラジルが財政破綻すれば、コーヒー相場も大きく変動するかもしれません。
引き続き世界の動向に目を向け、長期的な視野で展望を考えていきたいと思います。