少し前の話になりますが、
2022年10月25日から、1週間ほど東ティモール民主共和国に行ってきました。
まだ、コーヒー産地としての認知度は低いかもしれませんが、おいしいコーヒーが栽培できるエリアなんですよね。
東ティモールの基礎情報を紹介します。
国土面積:15,007km² (東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県の合計面積とほぼ同じ)
人口:約118.3 万人(2015年国勢調査)
首都:ディリ
宗教:キリスト教99.1%(大半がカトリック)
東ティモールは、インドネシアによる軍事支配の24年間を経て2002年に念願の独立を果たしました。
この国では長い植民地支配をうけた結果、あらゆるものを輸入に頼らざるをえません。
独立当時、この国から輸出できるものはコーヒーしかありませんでした。
そこで、国際NGOであるパルシックさんがコーヒー生産者の支援を開始しました。
これまで、コーヒーの木から摘み取った赤い実をそのまま売っていた農民たちに、
機材を提供し加工技術を教えることを通じて、質の高いコーヒー(カフェ・ティモール)を作り、自立への道を支援しています。
栽培エリアとして有名な場所は2ヶ所。
アイナロ県マウベシ郡の標高1,300m~1,700mの山の中でアラビカ種のコーヒーを栽培。
日中の陽射しの強さに比べ朝晩の冷え込みが激しい地域で、年間降雨量も多く、おいしいコーヒーが育つ条件に恵まれています。
エルメラ県サココは標高650~800mの旧ポルトガル植民地プランテーションの跡地にあり、ロブスタ種のコーヒーを作っています。
滞在中、東ティモールの歴史博物館をおとづれ、独立までの軌跡を勉強させていただきました。
知らない事実の数々に、終始驚きと国際社会の恐ろしさを感じました。
長年の努力によって勝ち取った独立。
ですが、やはり長い植民地支配をうけた結果、あらゆるものを輸入に頼らざるをえません。
そんな東ティモールにとって、コーヒーは貴重な換金輸出農作物です。
コーヒーが育つから、海外の人も訪れる大きな理由になる。
日本では育てられないので(一部地域を除き)、海外の栽培農家さんへの尊敬の念が増す瞬間でした。
東ティモールでは、およそ4万5000世帯の農家がコーヒー生産を主な収入源にしているといわれます。
一家族あたりの構成人員は平均6名、すなわちおよそ27万人が直接コーヒー生産で食べていることになりますね。
一家族当たりの所得は年間127ドルから200ドルで、そのうち90%がコーヒーからの所得といわれる。
農家さんは、農協に1キロあたり、2~3ドルの範囲で販売し収入を得ています。
すなわち、とくに高地での自給農業を補足する現金収入をうるほとんど唯一の道としてコーヒー生産があると考えられる。
集落にも滞在し、農家さんや加工業者のリアルな悩みや考えに触れることで、これからの自社のコーヒーに対する基準や貢献の仕方をイメージすることができました。
自社の取り組みは、まるで大河に水を一滴垂らすレベルかもしれませんが、サプライチェーンの中にいる者として考え続けていきたいと思います。